初心者が選びやすい刑事ドラマのベスト3

【その1 『夜明けの刑事』(主演:坂上二郎)】
地味な刑事ドラマでしたが、コメディアンとしてではない俳優・坂上二郎の魅力に啓発された名作でした。忘れられない一本としては過激な描写が売りであった少年漫画が掲載されていた漫画雑誌が殺人事件解決の糸口となった話があります。特に雑誌が制作される現場での実写映像というのは初めて目にした気がしました。百万部以上がこうして毎週世に送り出されている事実を重く感じることができたのはこのドラマのお蔭です。このように、名作のパロディを含んだドラマ仕立てが本作の売りでしたね。ドラマ性が下がって行ったことは残念でしたが、話題性を掴むということには長けていた作品でした。今でも懐かしく思い返すことがあるのです。
【その2 『太陽にほえろ!』(主演:石原裕次郎・ほか)】
実はこの番組がレギュラー放送されていた頃には私は見ることができなかった、すこし辛い思い出がある作品としても現在でも忘れられないのです。理由は簡単。当時人気を誇っていたプロレスの裏番組でしたから。父が大のプロレス好きで、この金曜日と土曜日のゴールデンタイムの裏番組は一切見ることができない時期が少なくとも私の学齢期はずっと続いたのでした。テレビが2台以上ある家庭がとても羨ましく思えたものでしたよ。それでも一度だけあの「三億円事件」の解決版が放送されることを知って、親しくしていた友人の家で見させてもらったことをはっきりと覚えています。現実では迷宮入りしましたが、犯人が追い詰められて死に至るという筋書きはとても衝撃的な物でした。当時既に家庭用VTRが市販されていましたが、本体よりも収録テープがとても高価だったため、2台目のテレビさえ置けない家庭では当然望めない代物でしたね。もしあの時のテープが家にあったならば、末代までの家宝としてあつかわれたでしょうけれども。残念なことでした。それはそれとして、この作品と邂逅出来たのは再放送が本格的に行われるようになってからでした。私は責任者である石原裕次郎氏よりもその下で手足となって働く中年の刑事達に思い入れがありました。人気が出たのはもちろん後に壮絶な殉職を遂げることが恒例となっていた若手の俳優達でしたが、人格的に未成熟さが目立ち、情熱と若さだけが売りの彼らの無鉄砲さには半ば呆れる所がありましたから、冷静で寡黙な目立たない彼らがとても好きだったのです。目立たない点に目が行きがちな私の性癖ですが、人間群像劇という側面では間違いなく彼らが主役でした。誰しもが知る名作なだけにこういう視点でも熱く語りたいですね。
【その3 『俺たちの勲章』(主演:松田優作・中村正俊)】
私が中学生の時、兄と二人で毎週欠かさずに見ていました。型外れな相棒を持つととても苦労するな、と毎回思わされることに終始していました。例えそれがとても優秀な刑事であったとしても、です。兄のお気に入りは松田優作さんが毎回名前も紹介されていない(おそらく複数の)謎の美女と憩うシーンでした。その当時の私は格段興味もなかったのでしたが、今思い返すと殺伐とした日常を癒してくれる清涼剤のようだったということですよね。関東の某温泉が舞台となった回が印象的だったことをよく覚えているのです。地元の目立たない刑事の哀愁が、この世界の物悲しさを語っていた別れのシーンがとても好きでしたよ。松田さんは前述の『太陽にほえろ!』で鮮烈にデビューされましたけれど、本作でその地歩を確実にしたと私は考えています。複数のシーズン化されることなく、中村正俊さんの退職で凸凹コンビは終わりましたが、これはこれで善い終わり方だったのではないでしょうか。これも忘れられない名作でした。
その他のお勧めの刑事ドラマとしては『部長刑事』『二人の事件簿』等が挙げられます。